バイクのカスタムするなら持っておきたい、ネジ・ボルトのトルク管理するための工具デジタルトルクレンチ。
ネジやボルトが緩まないように無意識に強い力で締めがちですが、適正トルク値以上で締めるデメリットは非常に多く部品の破損や事故につながることもあります。
手の感覚だけで締め付けるのは危険!
サービスマニュアルに記載されている規定トルク値は、ネジ・ボルトを固定するための計算されたベストバランス値になっており、緩すぎ・締めすぎどちらもよくありません。
安全のためにもトルク管理をきちんとしようと、品質と耐久性の高さに定評のあるKTC デジタルトルクレンチを購入。
この記事は、デジタルトルクレンチを使用して分かったことなど、注意点などのレビューになります。
この記事は個人のカスタム情報です。カスタムは自己責任でお願いします。
KTC デジタルトルクレンチ|デジラチェ
京都機械工具(KTC) デジタルトルクレンチ デジラチェは、ネジを締め付ける力(トルク)をデジタルで表示してくれる測定工具です。
勘違いしがちですが、すでに締め付けているネジ・ボルトの締め付けられている力を測定する工具ではありません。
ネジ・ボルトの締め付け作業に、どれだけの力がかかっているのかを測定する工具です。
KTCのデジラチェは、電池式以外にも充電式、作業履歴を記録するタイプなど種類が豊富。
今回購入したデジタルトルクレンチ GEK060-R3はトルク測定範囲が12~60Nm、電池式で規定トルク値に達すると音と光(LED)で知らせてくれるタイプです。
目盛りから読み取るアナログ式とは違い、画面上にいまどの程度の力で締め付けているかがデジタル表示されるため、作業がしやすいというメリットがあります。
- トルク測定範囲:6~30N・m
- 最小表示単位:0.02N・m
- 測定精度:トルク測定範囲内で右ねじ、左ねじ±4%+1digit(digit=最小表示単位)
- 測定方向:右ねじ、左ねじ
- 測定単位:N・m(切替での換算可能 kgf・m、lbf・in、lbf・ft)
- 電源:コイン型リチウム電池 CR2354×1(パナソニック製推奨)
- 電池寿命:約2ヵ月(100回/日使用時)
- メモリー登録件数:5件(目標トルク値保存件数)
- オートオフ:自動オフ(約2分間操作が無ければ電源オフ)
デジタルトルクレンチだけでは締め付け作業はできませんから、ヘキサゴン ビットソケットをあわせて使いましょう。
KTCのものでなくとも、適合するサイズのものであれば使用できます。
電池式タイプを購入した場合は、パナソニック コイン形リチウム電池 CR2354の予備を購入しておいたほうが安心です。
安価なリチウム電池もありますが、パナソニック製リチウム電池が推奨されているので安全・安心のためにもパナ製を選びましょう。
デジタルトルクレンチの選び方
デジタルトルクレンチには測定範囲があるため、作業に必要なトルク値に当てはまるものを選ぶ必要があります。
適正トルク値はサービスマニュアルなどに記載されており、どんな作業をするかによってトルク測定範囲にあったデジタルトルクレンチを選びましょう。
Z900RSのカスタム例をいくつかあげてみます。(一部のトルク値を抜粋)
- フロントフォークの突き出し:20〜20.5Nm
- ローダウンリンクプレート取り付け:45Nm
- オルタネーターカバーボルト:12Nm
- ステアリングステムヘッドボルト:110Nm
- ハンドルスイッチ関連:3.5Nm
一般的なソケットサイズ9.5mmのものだけでも、KTCのデジラチェは測定範囲が4つに分かれています。
今回私が購入したデジタルトルクレンチ GEK060-R3は、自分がカスタムする範囲で絞り込んで12~60Nmのものを選びました。
KTC デジラチェ|電池式 ラチェットタイプ
ソケットサイズ | 型番 | トルク測定範囲 |
9.5sq. ※差込角9.5mm |
GEK030-C3A | 2~30Nm |
GEK030-C3 | 6~30Nm | |
GEK060-R3 | 12~60Nm | |
GEK085-R3 | 17~85Nm |
デジタルトルクレンチの使い方
デジタルトルクレンチは正しい持ち方・使い方をすれば、誰でも簡単に使うことができます。
一般的な使い方の流れがこちら。
- 平らな場所にデジラチェを置き、電源を入れます。※電源を入れるときに水平を検知するため、手に持った状態で電源を入れると正しく測定を行えません。
- ゆっくりと締付けます。
- 設定したトルク値に達すると「ピーッ」という音とともに、赤色のランプが点灯するので、締付ける力を緩めます。
- デジラチェをボルト・ナットから外し、締付け完了です。
トルク測定モード | 計測モード | 締め付けトルクをデジタル表示。目視によるトルクコントロールが可能です。 一般的な締め付け作業で、計測値を確実に確認したいときなどに便利です。 |
プレセットモード | 設定した目標トルクヘの到達をLEDの発光とブザーでお知らせ。 最大5件のメモリー登録が可能で、エンジンの組立や金型の取付などの作業に最適です。 |
|
合否判定モード | 目標トルクの上限と下限を設定し、合否判定や合格数のカウントが可能。 合格範囲を設定でき、オーバートルクやトルク不足が簡単に把握出来ます。 |
|
測定値表示モード | ピークホールドモード | 締め付けトルクの最大値を表示します。 作業後に正確な締め付けが出来たかを確認できますので、オイルフィルタやプラグの締め付けなどに適しています。 |
オートクリアモード | ピークホールド表示を一定時間でゼロ表示に戻すことが出来ます。 クリアまでの時間は1~10秒で設定可能。 配管の接合部やホイールナット締め付けなど、同一トルクの連続作業時に適しています。 |
|
トラックモード | 測定値の最大値を保持せず、リアルタイムにトルク値を表示します。 クラッチの滑りトルクやパワーステアリングの操舵トルク測定などに対応できます。 |
|
ブザー音ON/OFF | ブザー音ONモード | ボタン操作時や設定トルク到達をブザー音でお知らせします。 |
ブザー音OFFモード | ブザー音を鳴らしたくないオフィス内や深夜の作業に便利です。 |
※引用:KTC公式サイト
モード選択は数種類のなかから作業にあった設定を選ぶことができます。
付属の取扱説明書はパッと見では分かりにくいので、事前にYouTubeなどで動画を見ておいたほうが作業がスムーズになるかもしれません。
※画像出典:KTC公式サイト
トルク値を設定したらブザー音とLEDの光で教えてくれるので、液晶画面が見えないような角度の場所のネジ・ボルトを締めるける最でも使用が可能です。
力を入れすぎるとすぐにオーバートルクになってしまうため、設定トルク値が近くなったらゆっくりじわ〜っと締め付け作業するのがポイント。
KTCのYouTubeチャンネルで使い方を学べるよ!
KTC デジタルトルクレンチ|レビュー
一番悩んだのはどの測定範囲のデジラチェにするか。
大型カスタムは整備環境および実力もないので整備士さんにお任せることを考えて、測定範囲12~60NmのKTC デジタルトルクレンチ GEK060-R3に決定。
ハンドル周りのカスタム、オイル交換などもこのサイズがあれば問題なく使用できると考えての選択でした。
バイクの軽整備・カスタムに使うならこれが最適!
お値段が少しだけアップする充電式も検討しましたが、電池式の割引率が非常に高く安価で購入できたので電池式を選択。
使用頻度が少ないため、電池式でも不満はありません。
今回はじめてデジタルトルクレンチを使いましたが、女性でも手に馴染むサイズ感でとても使いやすいと感じました。
音がなってから規定トルク値ピッタリで合わせるのがはじめは難しく感じましたが、コツを掴めばほぼぴったりのトルク値に合わせることができます。
結果として購入して良かった!というより、バイクの整備・カスタムするなら安全性を考慮してもっと早めにデジタルトルクレンチを購入するべきだったと反省しています。
- 適正なトルク値管理ができるので安心感がある
- 部品への負荷がかかるオーバートルク(締め付けすぎ)の心配がない
- 締め付けすぎて痛めた部品は強度が落ちる
- カーボンパーツなどはボルトなどを締め付けすぎると割れやすい
- オーバートルクが事故の原因になることもあり危険
これからはデジラチェと整備マニュアルを活用して安全に!
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